数時間という短い時間と、舞台上だけという限られた空間を使って繰り広げられる世界が、
わたしはきっと、どうしようもなく好きなんだと思う。
制約があるからこそ生まれてくるもの、それを肌で感じるとき、幸せな気持ちに浸ることができる。
一体その中にわたしが何を見出しているのか、見出そうとしているのか、それは分からないけれど、
一つだけはっきりしていることは、そんなときの私の心の中は、
何かが無限に広がっていくイメージで満たされているということ。
それは確かに、わたしのエネルギーの源になっている。
エネルギー値が、ゼロからほんの少しも上がる気配のなかった、ここ数週間。
先週は、もうどうしようもなくなって、ひたすらステージを眺める日々だった。
コンサートにミュージカルにお芝居に。
求めても求めても足りなくて、結局今週はパタリと通うのをやめてしまった。
少し疲れただけかもしれないけれど。
子供向けと聞いていただけに、さほど期待していなかった"The Jungle Book"。
原作は、ノーべル賞作家のJoseph Rudyard Kiplingによって1894年に書かれた、児童文学の傑作である。
今回見に行った舞台は、その中から、主人公が活躍する場面だけを取り上げていたようだった。
赤ん坊の頃、インドのジャングルの中に紛れこんでしまった人間の子供が、
オオカミたちによって育てられ、森の仲間から教育を受け、天敵と戦う中で、勇敢にたくましく成長していく。
見渡せば、観客は親子連れがほとんど。
しなやかな役者の動きに見とれつつも、会場の子供たちのツッコミが可笑しくて、
わたしは何度も噴出しそうになった。
真剣に、主人公の行く末を心配している子、オオカミの遠吠えに恐れをなしている子、
敵を倒すためのアドヴァイスをしている子。素直で、本当にかわいい。
最後には人間の元で暮らすことを決意する主人公。
所詮子供騙しよね、そう思いながら見ていたはずだったのに、不覚にもジンときてしまった。
何がわたしを感動させてしまったのか、実はよく分からない。
自分自身で分かっていないのだから、側で声を上げて笑っていた子供たちの目には、
わたしの存在は「何でこの人泣いてるんだろう、変な人!」としか映らなかったことだろう。
そして、彼らの親にも。「何でこの子泣いてるんだろう、変なアジア人!」というところか。
ジャングルの中の世界は、わたしにとってのドイツなのかもしれない、と思う。
そして、人間の世界は、いずれわたしの戻るべき場所、日本。
涙ぐんでしまったのが、まさかそのせいだとは思わないけれど。
そういえば、ドイツで初めてお芝居を見たのは、今からちょうど3年前のこと。
覚えているのはそれが、クリスマス前の雪が降りそうなほどに寒い日だったことだけで、
今となってはストーリーはもちろん、タイトルすら思い出せない。
いや、当時から分かってやしなかったのだ。
あまりに理解できなくて、そのせいでそれ以来芝居だけは避けてきたのだから。
それを思うと、時間が経ったんだなあ、と実感する。
もうすぐ、ドイツで迎える四度目のクリスマス。
わたしは一体あと何回、ここで祝うことができるだろうか。
わたしはきっと、どうしようもなく好きなんだと思う。
制約があるからこそ生まれてくるもの、それを肌で感じるとき、幸せな気持ちに浸ることができる。
一体その中にわたしが何を見出しているのか、見出そうとしているのか、それは分からないけれど、
一つだけはっきりしていることは、そんなときの私の心の中は、
何かが無限に広がっていくイメージで満たされているということ。
それは確かに、わたしのエネルギーの源になっている。
エネルギー値が、ゼロからほんの少しも上がる気配のなかった、ここ数週間。
先週は、もうどうしようもなくなって、ひたすらステージを眺める日々だった。
コンサートにミュージカルにお芝居に。
求めても求めても足りなくて、結局今週はパタリと通うのをやめてしまった。
少し疲れただけかもしれないけれど。
子供向けと聞いていただけに、さほど期待していなかった"The Jungle Book"。
原作は、ノーべル賞作家のJoseph Rudyard Kiplingによって1894年に書かれた、児童文学の傑作である。
今回見に行った舞台は、その中から、主人公が活躍する場面だけを取り上げていたようだった。
赤ん坊の頃、インドのジャングルの中に紛れこんでしまった人間の子供が、
オオカミたちによって育てられ、森の仲間から教育を受け、天敵と戦う中で、勇敢にたくましく成長していく。
見渡せば、観客は親子連れがほとんど。
しなやかな役者の動きに見とれつつも、会場の子供たちのツッコミが可笑しくて、
わたしは何度も噴出しそうになった。
真剣に、主人公の行く末を心配している子、オオカミの遠吠えに恐れをなしている子、
敵を倒すためのアドヴァイスをしている子。素直で、本当にかわいい。
最後には人間の元で暮らすことを決意する主人公。
所詮子供騙しよね、そう思いながら見ていたはずだったのに、不覚にもジンときてしまった。
何がわたしを感動させてしまったのか、実はよく分からない。
自分自身で分かっていないのだから、側で声を上げて笑っていた子供たちの目には、
わたしの存在は「何でこの人泣いてるんだろう、変な人!」としか映らなかったことだろう。
そして、彼らの親にも。「何でこの子泣いてるんだろう、変なアジア人!」というところか。
ジャングルの中の世界は、わたしにとってのドイツなのかもしれない、と思う。
そして、人間の世界は、いずれわたしの戻るべき場所、日本。
涙ぐんでしまったのが、まさかそのせいだとは思わないけれど。
そういえば、ドイツで初めてお芝居を見たのは、今からちょうど3年前のこと。
覚えているのはそれが、クリスマス前の雪が降りそうなほどに寒い日だったことだけで、
今となってはストーリーはもちろん、タイトルすら思い出せない。
いや、当時から分かってやしなかったのだ。
あまりに理解できなくて、そのせいでそれ以来芝居だけは避けてきたのだから。
それを思うと、時間が経ったんだなあ、と実感する。
もうすぐ、ドイツで迎える四度目のクリスマス。
わたしは一体あと何回、ここで祝うことができるだろうか。