うちの息子は男の子の割に、かなりのおしゃべり好きのようで、
寝ているときと食べているとき以外は、ひたすら何らかの言葉を発している。
一歳を過ぎてから、毎日少しずつ覚えた言葉を、決して忘れまいとするかのように、
目に入った物で、その名称を知っている物であれば、必ず指を差しながら大きな声を出す。
わたしのドイツ語よりもはるかに、二歳にもならない彼の日本語の上達は凄まじい。
先日も散歩中、空を見上げて「飛行機!」と叫んだ。
本当かしらと思いつつ、空を見上げたが飛行機は見当たらない。
なんだ、とがっかりしていたら、それでも息子は「飛行機!」とうるさい。
仕方なくもう一度、よくよく目を凝らしてみたら、本当に米粒より小さく見える飛行機が、
遠く青い空を飛んでいるのが、ようやくわたしにも見えた。
ごめんね、飛行機、ちゃんと飛んでるね、そう答えると、彼は満足げに笑っていた。
侮ってはいけないのだ、と改めて思わされる。
一つすごいなと思うのは、同じものでも様々な名称があることを理解している、ということ。
例えば、「自動車」と「車」と「ブーブー」は同じものであるということは分かっているし、
「ありがとう」と「ダンケシェーン」が両方とも、感謝の気持ちを表すときの言葉だという意識はあるらしい。
わたしだったら混乱してしまいそうだが、今のところ、難なくこなしているようである。
頭が柔らかい、とはこういうことを言うのだろうか。
写真の二輪車を見て、彼が「オートバイ!」と喜んだのは言うまでもない。
「バイク!」のこともあるが、彼がその二つの単語をどう使い分けているのかは、
今のところわたしにはまだ、解明できていないのだった。