もはや既に一ヶ月も前のことであるが、少し肌寒い中、久しぶりに動物園に行ってきた。
前回この動物園を訪れたのは、かれこれ一年半も前のこと。
あの頃は何を見ても「ワンワン」としか言えなかった息子も、
今ではすほぼすべての動物の名前を正確に言い表せるようになった。
何より、帰り際「また動物園行きたい!」と騒ぐほど、楽しそうな様子を見て、
随分と成長したものだと嬉しく思った。
これまでは、動物園で喜んでいるのは、いつもわたし一人で、少し後ろめたかったから、なおさら。
とはいえ、実は息子の今一番のお気に入りは、冒頭のキリンでもなければ、
この、いつ見ても昼寝ばかりしている百獣の王でもなくて、
その辺で散歩をしている犬や猫やハトだったり、
はたまた今は実物を見ることさえ叶わない、恐竜だったりするのだけれど。
それでも、幼い頃何度か動物のたくさんいる場所に行ったかな、
そこで、何となくだけれど楽しかった気もするなあという程度の、
おぼろげな記憶が残ればそれでいい、と思う。
二歳なら、それさえも無理な話か。
でも、わたしの最初の記憶は、二歳下の弟が赤ちゃんだった頃、
つまりわたしが二歳のときのものなのだ。
生まれたばかりの弟は、いつも小さな拳を握り締めていて、
その指をわたしは一本ずつ開いていって、いつの間にか弟の手の平に溜まっていた、
垢だか埃だかを取り除いてやった、鮮明な記憶が今でもあるのだ。
大きくなってから写真や映像を見たわけでも、親から伝え聞いた話でもないのに。
小さかったわたしの、今でも残る唯一の、確かな記憶がそんなことなのは、
なんというか、少し残念な気もするのだけれど。
まあ、記憶が残るか残らないかは、ずっとずっと後になってみないと分からない。
それでも少しでもいろんなものを見せてやりたい、と思うのが親心というもの。
何も見せなければそもそも、残りようもないのだから。
さて、今度はどこに連れて行こうか。
動物園編、次回に続く。