目が覚めると、それまでの夢の中の色の洪水のせいで、どっと疲労感が押し寄せる。
疲れを取るはずの睡眠が、わたしにとっては逆の効果となって現れることがよくある。
自分の夢がフルカラーであることを、初めてはっきり意識したのは、
ドイツに来て間もない、まだホームステイをしていた頃のことだった。
色だけでなく、味や匂い、時には何かに触れたり触れられたりする感覚もあるのだから、堪らない。
映画よりも鮮明な映像と、映画にはとてもなりそうにない破綻したストーリー。
眠っている間ぐらいゆっくりしたいのに、わたしの夢はそうはさせてくれない。
おかげでこの4年間、見た夢を起床直後に覚えていなかったことは、おそらくほとんどないように思う。
夢のメカニズムは私はよく知らないけれど、やはりこれは熟睡できていないということなのだろうか。
これが留学当初というのなら、まだ話は分かる。
慣れない国、慣れない言葉、慣れない習慣に毎日戸惑っていたあの頃、
また来る新しい明日のことを思い不安に駆られたり、遠く日本にいる家族や友人を恋しく思えば、
よく眠れないということも不思議ではないだろう。
だがあれから既に4年以上の月日が経ったのだ。石畳の上を歩いて買い物に行くことも、
近所の教会の鐘の音で正午を知ったりすることも、ドイツ人の友人とカフェでお茶をすることも、
今となってはすっかり日常と化しているはずなのだ。
それにも関わらず、わたしは一体何をそんなに緊張しているのだろう?
緊張感のある毎日、と言えば聞こえはいい。だが、本当にそうなのだろうか。
とてもそうは思えないところが、我ながら情けない。
もしわたしが一生この国に住むことになったなら、
昨夜の夢なんて起きたら忘れてしまっているほど、ぐっすり眠ることができるようになるのだろうか。
その時までには、この国にも言葉にも習慣にも、すっかり心を許せているといいのだけれど。
疲れを取るはずの睡眠が、わたしにとっては逆の効果となって現れることがよくある。
自分の夢がフルカラーであることを、初めてはっきり意識したのは、
ドイツに来て間もない、まだホームステイをしていた頃のことだった。
色だけでなく、味や匂い、時には何かに触れたり触れられたりする感覚もあるのだから、堪らない。
映画よりも鮮明な映像と、映画にはとてもなりそうにない破綻したストーリー。
眠っている間ぐらいゆっくりしたいのに、わたしの夢はそうはさせてくれない。
おかげでこの4年間、見た夢を起床直後に覚えていなかったことは、おそらくほとんどないように思う。
夢のメカニズムは私はよく知らないけれど、やはりこれは熟睡できていないということなのだろうか。
これが留学当初というのなら、まだ話は分かる。
慣れない国、慣れない言葉、慣れない習慣に毎日戸惑っていたあの頃、
また来る新しい明日のことを思い不安に駆られたり、遠く日本にいる家族や友人を恋しく思えば、
よく眠れないということも不思議ではないだろう。
だがあれから既に4年以上の月日が経ったのだ。石畳の上を歩いて買い物に行くことも、
近所の教会の鐘の音で正午を知ったりすることも、ドイツ人の友人とカフェでお茶をすることも、
今となってはすっかり日常と化しているはずなのだ。
それにも関わらず、わたしは一体何をそんなに緊張しているのだろう?
緊張感のある毎日、と言えば聞こえはいい。だが、本当にそうなのだろうか。
とてもそうは思えないところが、我ながら情けない。
もしわたしが一生この国に住むことになったなら、
昨夜の夢なんて起きたら忘れてしまっているほど、ぐっすり眠ることができるようになるのだろうか。
その時までには、この国にも言葉にも習慣にも、すっかり心を許せているといいのだけれど。